トップ > 研究概要 > 液晶性を活用した製膜プロセスの研究
溶液プロセスで結晶薄膜を作製する場合、結晶性の高い低分子材料では溶媒の揮発と共に再結晶化がランダムに発生し、平坦な結晶薄膜を形成するのが困難です。一方、結晶化しないアモルファス材料や結晶化しにくい高分子材料を用いれば、平坦な薄膜は容易にできますが、分子配向秩序性の低さより高移動度が実現できません。
そこで、液晶性を利用することで、分子配向がそろい、平坦性が高く、結晶性も高い結晶薄膜を通常の溶液プロセス法で作製することができます。流動性を有する液晶薄膜を前駆状態として利用することで、分子レベルで平坦で結晶性の高い結晶薄膜を容易に製膜することができます。簡易な溶液プロセス法であるスピンコート法を用いて、ターチオフェン液晶やベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)液晶の平坦な結晶薄膜が実現できます。
H.Iino et al. Adv. Mater. (2011).
現在、フレキシブル基板上への塗布製膜やトランジスタの集積化に必須な有機半導体のパターニングを目指して、液晶性を活用した新たな印刷法を検討しています。