液晶性有機半導体

  

液晶性有機半導体材料の新規合成

世の中に有機物は無数に存在しますが,電子デバイス用の半導体として利用できる有機"材料"は限られています。我々は半導体材料として新規な液晶分子の合成を行っています。

下図は我々が合成した材料の一例です。新規な材料を合成する際には分子デザインをすることから始めます。液晶相を発現させるためには、分子は大きな構造異 方性を持つ必要があります。棒状液晶を狙う場合にはπ共役系のコア部に長いアルキル鎖のような側鎖を付与することで液晶相を発現させることができます。こ の考え方は円盤状液晶にも有効で下図右下のフタロシアニン液晶材料がその例です。この材料は非常に高い電子移動度を示すということを我々は明らかにしまし た。


液晶相には液体に近い低次の液晶相から、固体に近い高次の液晶相まで多くの種類があります。材料を用いるデバイスに適した相を持つ材料が必要になり ますが、一般にどの液晶相が発現するかということを事前に予測することは難しく、試行錯誤する必要があります。しかし近年、当研究室に蓄えられている液晶 材料の合成法と材料の物性に関する膨大なデータを元に、我々は液晶相の中でも特に有用性の高い高次の液晶相を示す材料の分子デザインの方法を見出していま す。