研究テーマ


液晶性有機半導体

研究テーマは、新しい有機半導体材料である液晶性有機半導体の開発です。

液晶というのは、「液体のように流動性を示すにも関わらず、結晶のように分子がある規則的な配向を示す」という有機物に特有な物質形態のことをいい ます。「液晶」というとディスプレイに広く用いられている材料ですが,ディスプレイで用いられるいわゆる「ネマチック液晶」は液晶材料の中の一部分に過ぎません。

液晶に関する誤解
1. 液晶物質 は液体物質である。
2. 液晶物質の配向は電場に敏感である。
3. 液晶物質は結晶化しない。
4. 液晶物質における伝導はイオン伝導である。

これらはすべて誤解です。液晶相として、様々な分子配向秩序をもつ多く相が知られており、液体の流動性を示す低次の分子配向秩序を もつものから、分子結晶に極めて近い固体の高次の分子配向秩序を示すものまで多くの種類があります。したがって液晶材料は液体とは限りませんし,固体様の 液晶中では分子配向は電界に影響されず,結晶化した液晶材料も存在します。

また我々は誤解4.にあるように従来はイオン伝導であると考えられてきた液晶中の電気伝導が、実は電子性伝導であることを明らかにしました。電子性伝導ではキャリアがイオン伝導に比べて103倍も高速に移動することができます。これは液晶材料を電子デバイスへ応用することが可能であることを示しています。


この研究の基本的な考えは、液体の示す流動性によって材料に求められる大面積均一性を確保し、さらに自発的な分子配向を高品位な有機半導体薄膜実現のために利用 しようというものです。「液晶性有機半導体材料」はこれまでにない全く新しい「有機電子材料」として注目を集めています。

我々は液晶性有機半導体の新規合成電気特性評価電荷輸送理論・デバイス応用という幅広い視点から研究を進めています。