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昭和50年,大学院大学総合理工学研究科の創設とともに大岡山キャンパスからすずかけ台キャンパスに施設が移された関係から,大岡山キャンパスにおける学部・専攻への教育の参加は限られる.学部教育に関しては,大学院重点化以降も,一部の講義担当と卒業研究の学部学生の受け入れ(大岡山の電気系、物理系、化学系)により,本施設の教官による学部教育への貢献が図られている.
大学院教育において,教員はすずかけ台キャンパスに設置の総合理工学研究科内の物理情報システム,物理電子システム創造,ならびに,知能システムの3専攻の協力講座教員(専任)として,修士・博士課程の教育に深く参与し,基幹講座の教員と一体となって大学院学生の教育ならびに専攻の運営にあたっている.また,学内外の博士号取得者が研究員(非常勤)として研究活動に加わる機会が増えており,本学の高度人材育成教育を担う役割も果たしている.
材料・デバイス系部門では,将来の情報デバイスの大きな飛躍につながる半導体スピントロニクスや液晶性有機半導体などの新規デバイス・材料の開拓を世界に先駆けて行い,これらはいずれも,日本が世界の理工学に向けて発信する独創的で波及効果の大きな研究課題に発展し,優秀な若手教員獲得の背景になるとともに,多様な外部研究資金の獲得に大きく貢献している.情報系部門では,本施設が中心となって2003年以前から活発に展開されてきた医用画像入出力システムの多様化と高度化のためのプロジェクト研究が,施設内外の大学・企業の研究グループと共同で継続されている.基盤となる情報工学分野においては,画像の処理,認識,生成等に関する理論・及びシステム構築両面からの工学的アプローチ,3次元空間把握のための数理統計的手法に基づく物体形状認識,環境認識,そのための人工知能とロボットへの展開研究,などの先端的な研究が行なわれている.過去の寄附部門での研究成果は,学内ICカードおよびそれを管理・運用する学内組織GSICに結実し,高度社会保障サービス構築に向けてわが国で導入が検討されている電子私書箱システム開発の成否評価モデルに展開されようとしている.
本研究所では,毎年数件程度の科学研究費助成金,各種の受託研究と共同研究が実施されている.受託研究・受託事業は,本研究所の教員が研究総括責任者や分担責任者となって多数の企業の協力の下に進める大型プロジェクト,あるいは,産官学連携の人材育成型事業など,省庁等が実施する昨今の多様なプログラムを活用して幅広く展開している.
本研究所の教官は,電子情報通信学会,応用物理学会,日本画像学会,日本印刷学会などの理事を歴任しているほか,総務省,文部科学省,日本学術振興会,新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO),通信放送機構(TAO)等の委員を歴任しているほか,市や県などの公共機関における情報政策に関わる委員会の委員等を担当している.
本研究所の教員は,総合理工学研究科内の三専攻の協力講座の教員として専攻所属の留学生や国際大学院コースの学生を引き受け,毎年5名程度の留学生が本施設の教官の指導を受けている.
また,博士研究員として,この6年間では外国籍の研究者を延べ15名を雇用している.
研究所全体でみると,年平均8回程度の国際会議での招待講演の依頼を受けており,あわせて,各教官は年3回程度の海外での国際会議への参加を行なうなど,積極的に海外の研究者との交流を活発に行なっている.